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漢方薬は効きめが遅い?

 「傷寒論」という漢方の古典本には主に、現代ではインフルエンザや風邪といった急性期病の症状や治療法の記載があります。急性期病は即効性が求められます。

 生薬の数が少ないと効果がはやいと言われています。例えば、こむら返りの時に処方される芍薬甘草湯は、芍薬と甘草という2種類の生薬だけです。効果発現には数分を要するだけです。こういう例は極端なのかもしれませんが、急性期に処方される漢方薬は結構多く、こういった漢方薬は、数時間からかかっても数日で効いてくれます。

 一般に生薬の数が増えると効果発現に時間がかかるようですし、体質改善を目的とした場合には多少時間がかかります。ただし、2週間服用していただいても効果がなければ一度薬を続けるか、変更するかは検討が必要だと思います。

 漢方薬には標治と本治という考え方があります。標治とは、今ある症状に対して治療を行う(いわゆる対処療法)ことで、本治とは、病気となった原因に対して根本的に治療を行うことです。本治は、体質改善をイメージしていただくと分かりやすいと思います。

 あまり良い例えではありませんが、正座をしている方の足背にタコができて痛くなった場合、タコを削ると一時的に症状は改善しますが、正座をやめない限り繰り返してしまいます。タコを削ることが標治にあたり、正座をやめることが本治にあたります。この本治が漢方薬治療の特長といえると思います。