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漢方薬には「同病異治」と「異病同治」という考え方があります

 同じ病気であっても患者さんの体質や病状の進行ぐあいで漢方薬の処方内容が異なることがあります。これを「同病異治」と言います。

 また、異なる病気に対して同じ漢方薬が処方されることがあります。これを「異病同治」と言います。

 「同病異治」の例として例えば風邪の初期治療では患者さんの状況により、麻黄湯を処方する場合もありますが、葛根湯や麻黄附子細辛湯のこともあります。

 「異病同治」の例としては古典落語の「葛根湯医者」がイメージしやすいと思います。「お腹が痛い」という患者さんにも「頭が痛い」という患者さんにもとりあえず葛根湯を処方するヤブ医者の話ですが、さすがに腹痛に葛根湯を処方することは少ないと思いますが、こういう処方はあながち誤りとも言えないのです。葛根湯は頭痛、風邪、肩こり、じんましん等に効果がありますので、「証」という漢方のいわゆる「体質」が合えば異なる病気であっても同じ処方で済んでしまうことがあります。逆に「証」が合っていないと症状がかえって悪化することもありますので、注意が必要です。