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八味地黄丸ってどんな漢方薬?

 今回は、最近コマーシャルで見たり、聞いたりすることが多くなってきた八味地黄丸についてです。

 八味地黄丸は、漢方でいう「腎虚」に用いられる漢方薬の一つです。

 

 漢方では「腎」とは西洋医学でいう「腎臓」のことではありません。漢方でいう「腎」は、生命のエネルギーが蓄えられているところと考えられています。

 

 「腎虚」とは生命のエネルギーが加齢や老化によって不足した状態と考えられます。「腎虚」の治療薬となる八味地黄丸は、加齢に伴う様々な症状の改善や症状の進行の抑制のために処方されます。西洋医学では各症状に対して数種類の薬剤が処方されてしまいますが、漢方では例えば八味地黄丸一剤で済んでしまいます。

 

 八味地黄丸の名前の由来は、8つの生薬から構成され、中心の生薬が、地黄のため命名されたようです。この地黄でまれに胃腸障害が生じる方がいらっしゃいますので、注意が必要です。

 

 八味地黄丸は、下半身の機能低下を伴う方に効果が認められます。男性の泌尿器科領域に用いられることの多い漢方薬ですが、女性の老人性膣炎などにも効果のある方がいらっしゃいます。効能・効果には腎炎、糖尿病、坐骨神経痛、腰痛、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧などの記載があります。

 

 

泌尿器科領域では排尿異常、特に夜間頻尿を訴える方に効果がある、とされていますが、私の印象では八味地黄丸で夜間頻尿が改善する方は、比較的に軽症の方ではないかと思います。

 

すでに多剤の内服中の方や多少効果に時間がかかってよい方には試してみる価値があると思います。