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「デジタル病」と「アナログ病」

 ある高名な先生が講演の中で高血圧や高脂血症、糖尿病などのように特定の数値より高い(あるいは低い)場合であれば病気と診断されるようなものを「デジタル病」、また例えば「体がだるい」、「なんとなく頭が重い」、「内視鏡で問題ないと言われたが、なんとなくみぞおちのあたりがしっくりこない」などといった数値化することが難しいものを「アナログ病」と語っていらっしゃいました。

 

 

 

 このような分類で考えますと西洋医学は「デジタル病」を治療することが得意で、漢方医学はどちらかというと「アナログ病」の治療が得意なのかもしれません。

 

 


 例えば高血圧の方で「降圧剤を内服したくないので漢方で治療して下さい」という方が時々いらっしゃいますが、「デジタル病」ですので、やはり第一選択は降圧剤です。

 

では「デジタル病」に漢方が無力かというと場合によって治療に貢献できることがあります。速効性はありませんが、「証」といわれる患者さんの体質に合わせて漢方薬を処方することで降圧剤の量が減量できたり、高血圧に伴う症状(例えば頭痛・頭重感や肩こりなど)が軽減できたりする効果を期待できます。

 

 

 分野によって得意・不得意がありますので、治療もどちらか一方のみを選択するのではなく、ほど良いバランスで治療を進めていくことが最良と思われます。