手術、抗がん剤、放射線、免疫療法に次ぐ「第5のがん治療法」と言われているのが「光免疫療法」です。
がん治療は日進月歩ですが、「がんだけ」を取り除いたり、攻撃したりすることはできていません。残念ながら治療による副作用や後遺症等に苦しんでいる患者さんはいまだに多くいらっしゃいます。
「光免疫療法」は、極めて選択的にがん細胞だけを狙い撃ちし、同時に免疫を活性化する治療法です。
抗体を付けた「IR700」という「近赤外光」という光を吸収する光感受性物質を点滴し、その薬剤が毛細血管から染み出て、がん細胞に到達し、抗体ががん細胞の抗原にくっつきます。「近赤外光」という光を当てると、がん細胞の細胞膜に傷がつき、水ががん細胞内に入り込み、がん細胞が膨れて破裂し、がん細胞内部の物質が放出され、免疫が活性化され、がん細胞が死滅します。正常細胞は健在のまま残ります。
この光免疫療法は2020年9月に「切除術不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」で保険適用されました。
今後は頭頸部がん以外にも適用が拡大されると期待されています。
参考文献
小林久隆 医歯協mate 2022年9月号