日本人の腸内細菌叢について

「腸活」という言葉が言われはじめて久しいですが、昨年京都府立医科大学の先生方のグループが日本人の腸内細菌叢タイプが5つに大別されることを発表されました。


 

 

 今回は、腸内細菌そのものには詳しく述べませんが、食事の特徴について触れたいと思います。

 

  タイプA:高たんぱく・高脂質の多い食事;健常者の割合(%) 4.9

  タイプB:三大栄養素(脂質・タンパク質・炭水化物)のバランスの良い食事;26.6

  タイプC:炭水化物の多い食事;10.3

  タイプD:高たんぱく・高脂質・糖分の多い食事;6.8

  タイプE:野菜・魚の多いバランスの良い食事;35.8

 

 健常者の割合が高いタイプBとEはどちらも腸内環境が良いと考えられるようです。

タイプBは動物性食品を含めいろいろなものをまんべんなく食べるのに対して、タイプEは肉類を控え植物性食品中心のベジタリアンのような食事といったイメージです。

 

 タイプAとDはさまざまな疾患との関連が指摘されており、タイプAは循環器疾患、神経疾患、生活習慣病などの疾患が、タイプDでは炎症性腸疾患が関連しているようです。

 

 腸内細菌叢は食事を改善することで早ければ2週間程度で変えられるようですが、以前の食事に戻れば腸内細菌叢も元に戻ってしまうので続けることが大切のようです。

 

 タイプDはビフィズス菌が多いタイプで、日本人のビフィズス菌の割合は諸外国より多く、日本人の腸に必要な何らかの理由があるのではないかと考えられているようです。

 腸内細菌叢には性差があり、ビフィズス菌は女性に圧倒的に多く、大腸がんとの関連性が指摘されているフソバクテリウム・ヌクレアタムは男性に多いようです。

 

 

 食事でとりわけ大切なのが、食物繊維と言われていますが、日本人の摂取量は目標量(1日24g以上)に達していないのが現状のようで2019年のデータでは18.4g(水溶性3.5g、不溶性11.5g)で供給源は穀類(6.6g)や野菜類(5.2g)が多かったようです。

 

 水溶性食物繊維は、便の滑りをよくしたり、善玉菌のエサになったりするようです。また、不溶性食物繊維は、便のカサを増したり、腸の蠕動運動を促す特徴があるようです。

 

 

 

 参考文献

 内藤裕二 解明進む腸内細菌 医歯協MATE No.336