患者さんに泌尿器科の病気は相談しにくいものが多いですねとよく言われてしまうのですが、尿もれはその最たる病気の一つではないでしょうか?
残念ですが、中高年の方にはよくある悩みの一つですので、あなただけではありませんので、安心して下さい。また、女性に多いのですが、相談しにくいためかあまり受診されません。40歳以上の女性の4割くらいの方に尿もれがあり、悩んでいるという報告があります。
尿もれの原因には大きく2つのタイプがあります。
せきやくしゃみをしたり、重いものを持ったり、走ったりしておなかに力がかかってもれる腹圧性尿失禁と、水の流れる音を聞いたり、手を洗ったりする時に急に尿意を感じてトイレが間に合わないでもれてしまうものを切迫性尿失禁と言います。
今回は腹圧性尿失禁について述べます。
おしっこの筋肉とうんちを出す時の筋肉は骨盤底筋群という筋肉群で支えられています。肥満になったり、出産の回数が多くなったり、加齢によってこの筋肉群がたるんでしまうことにより尿道をしめつける力が弱くなり、その結果として尿もれが生じてしまいます。
筋力が弱ってしまったのですから筋力をつければ良い・・ということで、骨盤底筋を鍛える体操があります。その名も「骨盤底筋体操」です。はしば泌尿器科皮フ科クリニックでは体操のしおりを用意しておりますので、ご希望の方はお申し出ください。
主な内容としては先程記述しましたようにおしっこの筋肉とうんちの筋肉は関係しておりますので、肛門をギュッ!としめ、肛門をしめたまま、次に膣と尿道口もしめていきます。陰部全体を体の中に引っ張り挙げて、引き込む感じをイメージしていただくとよいと思います。ただし、すぐには効果が出ませんので3ヵ月間くらいは続ける覚悟が必要です。それと並行して薬物治療を行います。
体操もやった、薬も飲んだでももれる方も残念ながらいらっしゃいます。そういった重度の尿もれには手術がありますのであきらめないでいただきたいです。