今回は切迫性尿失禁について述べます。
急に尿がしたくなり、我慢できずにトイレへ行く前に漏らしてしまう失禁のタイプです。膀胱が勝手に収縮してしまうことによる失禁です。
原因が分かっている場合は、脳血管障害などの脳の病気で排尿のコントロールがうまくいかずに失禁してしまう場合です。しかし、多くは原因のはっきりしない場合が多いです。
大人の場合、尿が150~200㏄たまるとトイレに行きたくなります。そしてその倍の300~400㏄くらいまでは本来は我慢ができると言われております。尿もれが心配で早目にトイレへ行く習慣が続くと膀胱が小さくなり、尿がためにくくなります。
過敏となった膀胱に対して排尿の間隔を徐々に増やして膀胱にためる尿量を増やしていく膀胱訓練という方法があります。トイレへ行きたくなったら少し我慢して、その後トイレへ行き排尿する。その我慢する時間を徐々に増やしていきます。膀胱訓練は薬剤の内服と併用されることが多いです。また、腹圧性尿失禁の時にもご紹介しました「骨盤底筋体操」も効果があります。
治療薬としては抗コリン薬やベータスリー作動薬が主に処方されます。前者は膀胱の異常収縮をおさえる作用があり、後者は膀胱の筋肉をゆるめる作用があります。
抗コリン薬は口渇や便秘等といった副作用が知られており、ベータスリー作動薬が最初に処方されることが多くなりました。また、残尿が多くなったり、尿の出なくなることがまれに生じることがありますので注意が必要です。
骨盤底筋体操、膀胱訓練や薬剤でも良くならない重度の尿もれにはボツリヌスという薬剤の膀胱壁への注射という方法もあります。